喉元を優しくとおりすぎていく
ワインの温もりを
貴方の吸った煙草の残り香が打ち消すように
わたしを現実に引き戻す


ほろ苦い香り
ずっと傍らに寄り添っていた
そこに香るのが当たり前のように
後ろ姿を見つめ
初めて失った温もりに気づく
消し忘れた煙草
わざとのように
さりげなく立ちのぼる
紫煙が香る

貴方との日々が
涙に滲む

喉元を過ぎるワインの味もほろ苦くなる