月の光が射し込む
柔かな光だ


闇の中、照らされた
黒塗りのヘーゼンドルファーが
眩く輝いている



ピアノを弾く手を休め
窓辺に立つ


光の射し込む先を見上げた


満月――


心の奥底まで侵食されていく圧倒感


煌々と月が輝いている



「来世へと結ぶ縁(えにし)を二千年
三五の月に我は祈りき」