ぶつぶつと文句を言いながら、それでも遙は真っ黒な野菜炒めのお皿を空にした。
麦茶を2杯一気飲みする。
相当辛かったんだろうな…
「お前、俺にこんなもん食わせたんだから皿洗っとけよ」
食器を流しへ持って行きながら悪態をつく遙に、さすがにあんなものを食べさせてしまった罪悪感もあって素直に従った。
食器を洗っている間、遙は私の隣でじっと私の手元を見下ろしていた。
い、いたたまれない…
なんなの、落として割らないか心配なの?
むしろ見られてるほうがその可能性あるんですけど?
身長の高い遙はそれだけで威圧感がある。
小さい頃はそんな身長差もなかったのに、今では遙の胸元あたりに私の頭がある。
少しくしゃっとした黒髪に、引き締まった体。
可愛いかった顔は、整った男の子の顔になって。
風の噂で、かなりモテてるらしいって聞いたことがあるけど、本人に聞けなくて本当のことは分からない。
だってジャイアンだからな…
その噂が本当だとしても、きっと女の子たちが騙されてるとしか思えない。
