「いやいや!私の料理なんて食べられたもんじゃないよ!」



そんな遙様のお口に合うものなんて作れません!私ごときが!



必死に断ろうとする私に、遙は「うるせ」の一言で、ズルズルと私をキッチンへ引きずって行った。












……………………









「…お前、なにこれ」



遙の家の冷蔵庫の食材を借りて作った私の精一杯の手料理を見て一言。



うん、わかる。
私も、同じことを思ったから、うん。





「な、なにって、野菜炒め、だよ?」

「炒めすぎだろ焦げてんぞこれ、もやしってこんな黒くなんのかよ」

「…だから止めといたほうがいいって言ったのに…」




毎日お母さんが料理を作ってくれる家庭で育った私が作れるものなんてこんなもんだ。


それにしても焦げすぎたなーとは思うけど…





「うっわ、辛!」



顔を思い切りしかめて、炊いたばかりの白いご飯をかきこむ。



だって料理中もずっと遙が背後にいてソワソワしながら作ったから、慌てて塩コショウふりすぎたんだよね…