ここでキスして。





でも、そんなわけないよね。
グラウンドから距離あるし、気付かれてないはず。





と思ったら、思いきり目が合った。





「!」





まさか気付かれるとは思ってなかったから目をそらすのも忘れて、今さら逸らせない状況。






しばらく見つめ合ったままでいると、遥がベッと私に向かって舌を出してきた。






「なっ……」





今、アッカンベーされたよね?






それから口パクで何かを伝えようとしているけど、遠すぎてよく見えない。





でもニュアンスでなんとなく分かった。




遙のことだから「こっち見てんじゃねえバーカ」とか言ってるに違いない。


絶対そうだ。




むっかー!






私から顔をそらしてクラスメイトたちとサッカーを再開する遙を唖然と見つめる。



なんなの?



しかもさっきの表情と違ってクラスメイトにはめっちゃ笑顔だし。



地味に応援なんかするんじゃなかった!







…私にはそんな顔、見せないのに。