ここでキスして。




花瓶のお水をかえて教室に戻った頃には、クラスのみんなが集まりだしていた。


静かだった教室が賑やかになる。






「おはよー美弥」

「あ、伊織ちゃん。おはよ!」

「あれ、今日日直?」

「うん」




花瓶を棚に戻す私を見て口を開く。




「あれ?じゃあもう一人は……」





そこまで言って、何かに気が付いた伊織ちゃんがニヤリと笑った。



前にも見たことがある、面白そうなものを見つけたような目。





「ふーん?そっかそっかー、日直かー。頑張ってね?榛名くんと」

「ちょ、伊織ちゃん!」




なんてこと言うの!


意味深なことを言う伊織ちゃんの口を両手でふさいで、榛名くんをチラリと見る。


良かった…こっちに気付いてないみたい。





「んー!んんー!」

「わ、ごめん!」


強く口を塞ぎすぎたせいで、伊織ちゃんがゼーハーと空気を取り込む。

ごめん伊織ちゃん、だって変なこと言うから…