ここでキスして。





「そういえば今日俺たち日直じゃなかったっけ?」




思い出したように榛名くんが尋ねる。






「あ、そうかも」




昨日帰り際に担任の先生が言ってた気がする。
あんまり聞いてなかったからすっかり忘れてた。





「私、花瓶のお水かえてくるね!」





そう言ってそそくさと立ち上がると、後ろの棚にある深緑の花瓶を持って廊下に出た。


流しの蛇口を勢いよくひねる。










……さっきの榛名くんの反応からして、バレてないよね。多分。



特に変な顔もされなかったし、普通に話してたし。






「…危なかったー…」





ホッと息をつく。


あれでもしバレてたら、完璧に変態のレッテルを貼られてた。


まさか自分があんな大胆なことするなんて、しかもあの眠り王子に!



…次から気を付けよう。