そう言って睨み付ける。
別に誰も見たくなくても、さすがにめくれたら恥ずかしいし。





「……」




そんなことを考えていると、遙が急に黙ったのに気が付いた。



私をじっと見つめる。



目があったまま何も言わない。





「…?」




そのまま近寄ってきたかと思うと、遙の手が私の目の前まで持ち上げられた。


意味が分からなくて、私はその動作をただ目で追っていく。







「…え?」








突然指先が、私の口元に触れた。












「髪。食ってる」











スルリと私の口元から髪が肩に落ちる。

…さっきの強風のせいだ。






「…あ、りがと」






びっくりした…。

急に黙って近付いてくるから、なにかと思った。

驚いて言葉に詰まる。







「ガキ」



固まっていると鼻で笑われた。




「キスされると思ったのかよ」

「な!思わないよ!」




キス、という単語を聞いてボッと顔が燃えるように熱くなった。

遙が変なこと言うから!