ここでキスして。




「は、遙…」

「バレバレなんだけど」




呆れた目で見る遥。


わー偶然だねー、なんて嘘らしい笑顔を浮かべても、全部お見通しらしい。





「コソコソついてくんなよ」

「え、いやいや帰る方向が一緒なだけだから!」




別について行きたいわけじゃない!

家が隣同士だから仕方なく帰り道が一緒なだけで、ストーカーしてるわけでもない。




遥が軽く腕を組んで私を見下ろす。





「じゃあお前が帰る時間ずらせよ」




でた!ジャイアン発言!




「…な、なんでそこまでしなきゃいけないの」




珍しく反抗してみたけど語尾が弱々しくなってしまった。
やばい。ビビってるのが丸分かりだ。





「?ムカつくから」



何当たり前のこと聞いてんだよって顔をしながら、言葉のストレートパンチをあびせられる。


なに、なに、私が何したっていうの?




小さいときにハルちゃんって呼んで女の子扱いしたこと?

ただでさえ顔が整ってるから、小さいとき女の子の格好させておままごと強要しちゃったこと?

あ、遥が昔大事にしてたオモチャ壊しちゃったこと?

いや、いつも内緒で遙のおやつ食べてたこと…?



思い当たる節がありすぎる。
小さい頃の嫌な思い出ってトラウマになっちゃうみたいだし。

それが原因なのかな…