女は俺と目が合うと、“あの笑み”を浮かべ、口を開いた。 なにも……なにも言うな……。やめてくれ………。 俺の思いとは裏腹に、女の口は動き続ける。 『アンタナンカ』 やめてくれ……。 『アンタナンカ、ウ…「湊!湊!!」 その時、女の声を遮るように、別の声が頭の中にこだました。 はっと目を覚ますと、目の前に不安そうな亜瑚の顔があった。 「あ、こ……」 「湊、よかった〜! うなされてたから心配した〜……」 亜瑚の顔に安堵が広がるのがわかる。 気づけば俺の背中は、汗でびっしょり濡れていた。