同居を始めて、2週間ほどが経った。

ふたりでの生活にも慣れてきた、ある日の昼休みのこと。


私はいつものように、教室で玲奈と机を合わせてお弁当を食べていた。


「ねぇー、亜瑚?」


「なーに? 玲奈」


「今日、亜瑚のお家に遊びに行ってもいいかしら?」


「えぇっ!? 今日!?」


首を傾げ、おしとやかに放たれた玲奈の突然の発言に、私は卵焼きを口から噴き出しそうになる。

危ない、危ない。


「どっ、どうして急に……」


「引越したんでしょ? ちょっとお邪魔したいわ」


「でもほら、すごく散らかってるしっ」


「前の家の時はよく遊びに行ってたじゃない。
亜瑚の部屋が散らかっていたことなんてないわよ?」


無垢な眼差しでそう言われてしまうと、返す言葉も見つからない。


ま、まぁーそうだけどさー……。今は状況が違うっていうかさー……。

なにを隠そう家にはあのお方がいるし……。