「……亜瑚っ!!」
耳に届く、玲奈の悲鳴にも似た叫び声。
私、やっぱり落ちてるーっ!!!!
玲奈が手を伸ばしてくれるけど、玲奈の手に届いたのは扇子だけ。
襲いくるであろう衝撃と痛みに、ぎゅっと目をつむって構えていると、突然背中全体がなにかに包み込まれるような感覚を覚えた。
え……? なにが起こったの……?
状況を把握するため、ゆっくり目を開いた私は、眼球が飛び出さんばかりに目を見開いた。
「なっ……」
私の声を奪ったのは、突然視界に飛び込んできた、如月くんの顔だった。
そう。私の体は、お姫様だっこの形で、如月くんの腕の中にすっぽりと収まっていたのだ。


