「ん?」


「ちょいちょい」


そう手招きされ、俺は祐馬に促されるまま教室の隅に移動する。


「なに」


すると祐馬があたりを気にするように、口の横に手を当て、声を潜めて尋ねてきた。


「湊さ、一昨日誕生日だったけど、本当に結婚したん?」


小学校からの付き合いだから、祐馬はしきたりも知ってるし、小学校からの俺の事情も知っている。


隠す必要も否定する必要もなく、俺は正直に答えた。


「まぁ、一応は。まだ婚約っていう状態だけど」