「ねぇ、如月くんは結婚するっていつから知ってたの?」
スプーンを持つ手を止め、私はテーブルの反対側に座る如月くんに尋ねた。
「知ってたっていうか、17歳になったら婚約するって決まってたようなもんだから」
「そうなの!?」
今時そんな決まりがあるなんて、当事者になったとはいえ驚きだ。
「で、親父があんたの親父さんに会って、ちょうど俺が昨日17になったから、こういう流れになったんじゃないの?」
なるほど……。
というか、如月くん、昨日誕生日だったのか……! 新情報だ。
「婚約のこと、ご両親には挨拶しなくてもいいの?」
「いい」
少しだけ、如月くんの声が固くなる。
だけど私はそれに気づかず、続けた。
「それにしても、如月くんがひとり暮らしだったのはびっくりだったな。
どうしてひとり暮らししてたの?」
「親父は単身赴任状態だし。
俺が望んでひとり暮らししてた」


