「如月くん……。ありがとう」
ほんのり心が温かくなって、お礼を述べた。と、その時。
――ぐ~。
いい感じの雰囲気をぶち壊す、情緒の欠片もない音が部屋に響き渡った。
あっ!? お腹が鳴ってしまったー……。
仮にも旦那になる人の前でお腹を鳴らしちゃうなんて、なんたる失態……!
まるで人生終了かのごとく、ひとりで焦る私の頭上に、ふと声が降ってきた。
「ふっ。あんたって、考えてることまんま顔に出んのな」
「え?」
つられて顔を上げると、そこにはこちらを見下ろす如月くんの人を嘲るような端正な顔。
「ほーんと単純。ガキみたい」
ん? バカにされてるの? されてるのよね? これは。
ふつふつ怒りを湧かせていると、如月くんが急に甘さを含んだ声で言った。
「そんなお子ちゃまには、俺が夕飯作ってやるよ」
……へ?


