「死にそうって……なにかあった――」
まくしたてるような亜瑚の声がぷつんと途切れ、ドサッと重い音を立てて亜瑚が肩にかけていたボストンバッグが床に落ちる。
「み、なと」
思わず俺は、目の前に立つ亜瑚の手を引き、その体を抱きしめていた。
「……亜瑚不足で死にそうだった」
「……っ」
亜瑚には本当、かなわない。
かっこ悪いけど、亜瑚の前では本音が出てしまう。
「実はね、私も湊に会いたくなって、湊不足だった」
照れたように、そっとつぶやく亜瑚。
「まじ?」
「うん。本当は明日帰ろうかなって思ってたの。
お父さんもお母さんも大好きだけど、湊も大好きだから」
あぁー、やばい。こいつは、俺のこと何回落としたら気がすむんだろう。
……もう、限界。
俺はそっと体を離すと、ぐっと顎を上げ、小さく赤い唇に自分のそれを押し当てた。
「……ん……」
突然のキスに一瞬驚きを見せたけど、俺の背中に手を回し、受け入れる亜瑚。


