バタンと玄関のドアが閉じられた途端、まっさらになったかのように、部屋が静かになる。
はぁ……。また、ひとりだ。
部屋を見渡してみても、だれもいない。
この部屋、こんなに広かったっけ。
俺は、いつでも寝られるようにと背もたれを倒してベッドメイクしていたソファーに、仰向けに横たわった。
亜瑚が来るまでは、ずっとひとりだった。
ひとりで起きて、ひとりで食事食べて、ひとりで寝て、毎日それが普通で。
それなのに今はこんなにも、ひとりの時間が物足りない。
それはきっと、亜瑚が隣にいる温もりを知ってしまったから。
「って、なにかっこ悪いこと考えてるんだよ……」
あいつは今、家族と過ごしてるんだ。
突然婚約させられて、離れ離れにならなきゃいけなくなったけど、本当は両親とゆっくり過ごしたい時もあるだろう。
ちょっとくらい帰してやらないと可哀想だと思う。
永遠に会えないわけじゃねぇし、1週間後には帰ってくるわけだし。


