「いやぁ、お話があって立ち寄ったんだけれども、素晴らしいお嬢さんだということが改めてわかってよかった」
「いやー、そんなそんな……」
爽やかな笑顔と思わぬ褒め言葉に、つい照れてしまう。
でも、婚姻届って言葉を聞くと、気持ちが引き締まる。
そうだ……。私、結婚するんだよね。
「ちょうど今日は息子も連れてきたんだ」
「えっ……!?」
おじさんの息子ということは、私の結婚相手ということだ。
突然訪れた、旦那さんになる人との対面に、爆発しそうな勢いで心臓が暴れだす。
「入ってきなさい」
おじさんが入り口の方に呼びかける。
あまりの緊張に、肩に、そして体全体に力がこもる。


