――時は遡り、今年の4月。

高校2年生に進級した、新学期初日。


「新しい先生、だれかなぁ」


「ふふ、優しい先生だといいわね」


私、来栖亜瑚は、親友の佐原玲奈と新しい教室に向かって廊下を歩いていた。


玲奈は、中1の時に同じクラスになってからの親友だ。

家が舞踊教室を開いていることもあり、ひとつひとつの所作が綺麗で、大人っぽい玲奈。

そんな玲奈と、また同じクラスになれたことに、気持ちが舞いあがってしまう。


「亜瑚は、だれか知り合いと同じクラスになった?」


「ううん。私は特に。玲奈は?」


「私もいなかったわ。あ、でも、賑やかなクラスになることは間違いなさそうね」


人差し指を立て名探偵さながらに言う玲奈。

でもワトソンもとい私は、玲奈の言葉がピンと来ず、きょとんと首を傾げた。


「え? どうして?」


「如月くんが同じクラスなのよ」


「ああ、なるほど~」