「亜瑚……」
行き場のない感情を押し込めるように膝の上でぐっと握りしめていた私の拳を、玲奈が優しく握ってくれる。
「大丈夫よ。心配しないで、ね?」
「ありがと……」
でもそわそわして、たまらない……。
考えないようにしようとしても、ふたりのことがこびりついたように頭から離れない。
真っ黒くてぐるぐるした、嫌な感情が心の中から消えない。
こんな私、自分が一番嫌なのに。
「ちょっと、トイレに行ってくるね……」
「亜瑚……」
気持ちの整理がしたくて、私はひとりテントから離れるように、トイレに向かった。


