昼休みを挟んでいるから、授業開始までは少し時間がある。

目の前で繰り広げられる光景から目をそらすように、私はひとりで校舎の横の水道に向かった。




校舎の横の水道は、ひとけがなくて静かだった。


朝忙しくて髪縛ってこられなかった私は、ジャージのポケットからヘアゴムを取り出し、ポニーテールを作る。


でも慣れなくて、なかなかうまく縛れない。

何度挑戦してもボサボサになってしまい、ひとり、ポニーテールに苦戦していると。


「だーれだ」


「わっ!」


いきなり、後ろから目を隠された。

でも、そんなこと聞かれなくてもわかる。


「湊でしょ!」


「当たり」


目から手が離れて、振り返ると、湊が立っていた。