【亜瑚side】


それからも私たちの新婚生活は順調に進んでいった。

そうするうちに月日は流れ、9月になった。


9月と言えば、うちの高校には特大行事がある。そう、クラス対抗体育祭だ。

体育祭を間近に控えた私のクラスは、盛り上がりを見せている。


体育でももちろん、グラウンドで体育祭の練習。

そしてそんな中、女子の視線を集めるのは──。


「はぁー! 如月くんかっこいいー!」


「スポーツもできるなんて、本当に実写版王子様ー!!」


「如月くんいるし、絶対うちらのクラス優勝だよね!」


……他のだれでもない、湊だ。


湊ってば、まだ走ってもないのに、きゃーきゃー言われちゃってさ。


ジャージのポケットに手を突っ込んで眠そうにしている湊を、ちょっと睨む。


……でも、ジャージもこの上なく着こなしてるし、相変わらずかっこいい……。

って! なに考えてるの!


旦那がキャーキャー言われてるのをそばで見ていると、やっぱりモヤモヤしてしまう。