湊の心にやっと触れることができた気がして、私はぐっと体の横で拳を握りしめた。
私もちゃんと思いを伝えなきゃ。
湊だって真剣に私に向き合ってくれたのだから。
「湊……。私も伝えたいことがあるの」
「ん?」
「祐馬くんに聞いたよ。湊の昔の話」
「……」
湊の顔に影が落ちた。
その表情にズキッと心が痛む。
でも、もう湊にそんな顔させたくない。
だから、ちゃんと湊に向き合わなくてはいけない。
「私なんかが、湊の苦しみ全部わかった気になっちゃいけないって思う」
湊は俯いている。
私の目にはいつの間にか、涙が溜まっていた。
湊が一番苦しいはずなのに、湊の抱えてきたものを思うと、涙が止まってくれない。
自分よりも、湊につらいことが降りかかることの方が苦しい。
それほどに湊は大切な存在になっていた。


