「なに見てんの?」


「な、なんでもないよっ」


私は慌ててスケジュール帳を隠す。


「ふーん。隠し事なんて感心しないな」


「ちょ、ちょっと!
教室なんだから、あんまり話しかけてこないで……!」


周りに聞こえないように、小さな声で注意する。


「大丈夫だって。今誰もこっち見てないし。
そんなことより、今日学校終わった後、一緒に買い物行こうよ」


「きょ、今日!?」


よりによって今日だなんて。

湊と買い物に行きたい気持ちはやまやまだけど、玲奈と拓ちゃんと、湊へのプレゼントを買いに行く約束をしてしまった。


「今日は……ごめん」


「なんで?」


「な……、きょ、今日は用があるから……」


そう言うと、湊は残念そうな不機嫌そうな表情になった。


「そうか……」


「ごめんね……!」


すごく心苦しいけど、これも湊にプレゼントを買うためだ。

妻は心を鬼にするよ……!