「お? その感じは彼氏いるの?」 「えー、残念だなー」 「いや、いるとか、そういう感じじゃ……」 「彼氏、誰? このクラスにいんの?」 「ねぇねぇ、俺たちに乗り替える気とかない?」 ずいずいと顔を寄せてきて、ふたりともなかなか引いてくれない。 どうしよう……。と応答に困っていたその時。 ――パシッ。 いきなり誰かに後ろから手首を掴まれた。 「えっ……?」 顔を上げて見ると、手首を掴んだのは……湊だった。