天気は晴天。

入学式にはもってこいの春らしい朝。

「いいよ別に…勧誘とか」

やる気のない発言をしてその場に

しゃがみ込んだら、

親友に頭をどつかれた。

「最初が肝心でしょーが!!!

ほれ!!立つ!!」

「な、殴った…」

頭を押さえながら渋々立ち上がると、

後ろから先輩の笑い声が聞こえた。

「お前は今日もこの上なく

やる気ねぇな、おい!」

「…寝不足なんです、今日」

私がそう言って胸を張ると、

先輩は「意味わかんねぇから!」

と言って頭をどついてきた。

…今日は、よくどつかれる日だ。



櫻宮ゆり。16歳。

高校2年生。に、なりたてであります。

「やっぱこの看板じゃ

ダメだったかなぁ〜…」

「ん〜…なんか怪しいもんね、

この看板」

隣にいるのは、相葉ゆか。

別名モテ女王。

今世紀最高の美少女とも称されている

彼女は、小学校から一緒の大親友。

明るい茶髪にゆるパーマが大人っぽい。

ついでに言うと、口元のほくろが

エロくて、ひそかにみんなから

“エロゆか”と呼ばれている。

本人はそれを知らない。

知ったら、多分超キレる。

ゆかはキレたら超怖いから、

知らないままでいてくれると助かる。

ちなみに私は、みんなから“チビゆり”

と呼ばれている。

私の場合は、みんながオープンに

そう呼んでくるんだけど。

しかも、中学の頃からのあだ名だし、

もう慣れっこ。

そう呼ばれる原因は、

もちろんこの身長にあり。

145センチ。

私はまだ伸びると信じているけど、

ここ3年くらい伸びる気配がない。

成長期も休憩するのだと、

自分に言い聞かせている。