「ここまでは分かったか?」


『はい』

5人は声を揃えて答えた。


「なら続けるぞ?
一人間として生きるためには、天界での記憶は必要ない。だからーーー」





大天使候補生の時のことは忘れてもらう。





ユウの声がその時だけ、1オクターブ低くなったような気がした。


ココは数瞬後にその意味をしっかり受け止めた。



「ーーなら、お兄ちゃんやお姉ちゃんのこともーーー」


「人間である間は、知らないことになるな」


ユウはあくまでも無表情だった。


ただ、目の色が痛々しいほどに悲しみに染まっているだけ。