ユキのその笑顔で全てが解決したかのような空気が流れたが、ココの心中でどうしても燻っていることがあった。
考えた末に、その場の空気を打ち砕く。
「ねぇ、お父さん。
お父さんの…亡くなる前のあたしに対する態度は嘘だったの??」
あの温かい、安心する、おじさんの空気は。
ずっと求めていた言葉をくれた、おじさんは。
父は慌てて大きな声を出す。
「違うよ、あの俺の態度に、嘘は無い」
あれは、ずっとやってみたかった、俺なりの家族に対する態度だったんだ。
バリバリ会社を回していた頃には余裕がなくて、家族を辛い目にあわせてしまった、俺の。
あのひとときは、本当に俺の夢が叶っている瞬間だった。

