heure de la'nge〜天使の時間〜




ユウが根気強くユキの言葉を聞くに、こういうことだった。




今日、ユキは学校帰りに直接、母さん達の様子を見に行った。

今日は仕事が休みだったらしい母と、妹の心は、ユキが覗いたその部屋の中で、とても楽しそうに笑いあっていて、ユキは少し羨ましくなってしまった。


そんな気持ちのまま、とりあえず言われている通りに父の会社へ行き、楽しそうだった、幸せそうだった、と父に伝えた。


すると、父はにこりともせず、「分かった」と返し、「帰りなさい」と言ったのだという。



「それでねっ、あたしがドアを出るときにちょっと見えたんだけど……っ!
父さん、幸せそうに笑ってたのっ!」


自分には向けてくれないーーー見せてくれさえしない、その笑顔を。


いとも簡単に妹と母にのみ、あげた。