heure de la'nge〜天使の時間〜




ゆっくりと開かれたその目は、しっかりときるをとらえた。


「……きるちゃん……?」


優しさに満ちたその女の人の声に、きるは音も無く、涙を流し始める。


そのきるの顔を見て、女の人は笑った。



「初めまして…ね。こんな形とは思わなかったけれど。
貴女、私とあの人の娘でしょ?私ねぇ…」


薄く笑いながら、ぎこちなく手を大きなお腹に持って行く。


「この子、きるって名前にしたいなぁ…って思ってるの…

貴女、きるちゃん?」



きるは幾度と無く、頷いた。


頷き過ぎて、涙が溢れ過ぎて、母の顔が見えなくなっていた。