ハルくんの口から聞かされる、わたしが知らなかった―――いや、知っていたはずの、ハルくんの真実。



心臓が、耳元にあるんじゃないかってくらい激しく鳴り響く。

痛い、痛い。



ハルくんの腕の中は、温かくて、大きくて、すごく安心する。


ハルくんの香りが、大好き。


………ハルくんのことが、ずっと大好き。



――その想いは全部、“わたしだけ”だったんだ。


ねぇハルくん、わたしどうしたらいい?


この胸から、ハルくんから抜け出したいの。
ひどいって言って一発くらい殴ってやりたいの。

だけど、苦しくて、悲しくて、ハルくんが大好きだから、そんなこと出来ないの。



―――ねぇハルくん、お願い、この涙を止める方法をおしえてください。



「……っ…は、るくん…」


小さく絞り出すように声を出すと、ハルくんはまた、それは、と話し始めた。


ハルくん、やめて、お願いだよ。


これ以上聞きたくない、そう思って、手で耳を塞ごうとしたら、ハルくんに両手を掴まれ、腰に手を回された。

そして。



「――…それは全部、はなのためってことに、気づいて」




傷つきたくない、そう身構えていると、降ってきた言葉は、………あまりにも意外な言葉だった。


「………え…?ハル…くん…?」



力が緩んだハルくんの腕からスルリと抜け出し、わたしはそっと、ハルくんの顔を覗いた。