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「――…っ…っは、ルく…ん…っ~うわあっ…!!」

「わ、やっと起きた」


ガバッと勢いよく起きると、すぐ隣にはメガネを外したハルくんがいた。


あれ、わたし、ソファーに移動してる……っじゃなくて!


「いっ今何時…!?」


「夜の9時過ぎ」


「っ!!」



な、なんだって……!?
夜の9時だと……!?


や、やばい。これはもう切実に。
いつの間にか寝ちゃうし、こんな時間までハルくんに迷惑かけちゃうしっ…


………あぁ、どうしよう、嫌われちゃう…っ



寝る前のことが鮮明に蘇ってきて、またジワリと目に涙が浮かんだ。―――と。



「……もう勘弁して」


「えっ……わあっ」


涙が零れる一拍前。わたしは、ボスンとハルくんの胸のなかに吸い込まれるように埋まった。


「…っ…あの、ハルく…」

「クランベリーのショートケーキ、別に好きじゃないよ」


「っ…」



まってくださいハルくん。わたし今、それに耐えられそうにないの。


そう言おうとしても、顔ごとハルくんに包まれているため、うまく口が動かせない。


「甘ったるいし、そもそも僕、洋菓子より和菓子派だし」


「………」


「車の免許、はなには最近って言ったけど、ほんとはとってもうすぐ一年経つ」


「………」



「ていうか僕、ほんとは地元出て、東京の大学行きたかったし」


「………」