………だ、駄目だ……。
わたしのHPは残りわずかだ……。

おのれ…、怪人毒々キラめ…


「……は、ハルくん…わたしが死んでも…ザラキーマで生き返らせて……ね」


瀕死なら瀕死のフリをしよう、そんなわたしにハルくんは、「ザラキーマって死ぬ呪文だけど」と、容赦なくとどめを刺し、今度こそわたしはバタンとローテーブルにうつ伏せた。


……さ、さすが現役K大生…。ドラクエもお手のもの、と…。


ちらりと、テーブルから少しだけ顔を上げハルくんを見てみると、やっぱりまだ、彼は鋭い視線はわたしの作文用紙に映っている。


………なんだいなんだい。ほんとはこんなつもりじゃあなかったのに。


ほんとは、俺も愛してるよって、それは無理でも、少しでもいいからハルくんから甘い言葉を聞きたかったのに。




うぁ、イヤだなあ、なんか涙出てくるし。

もう、訳わかんない。


………わたしばっかり、なんでこんなに好きなのかなあ…。





……もう知らないっ


最初は悲しくなっていたわたしも、なんだか今は腹が立つ。


くそう、このメガネのっぽ。ひょろひょろ。天パ。イケメン。モデル体型。



ばかハルくん。もう知らない。

ふんだっ…



わたしはなんだかやるせない気持ちになり、涙が滲んだ重い瞼をゆっくりと閉じた。