ハルくんは、それだけ言うとわたしの方に向き直って、 ん、とスマホを手渡してきた。
画面はまだ、通話中。
「え?えっわたし?」
「うんそう。早く」
「うっ、は、はい、もしもし……」
いきなり促されたわたしは、なにがなんだか分からないまま電話を変わった。
だって、今のハルくんには逆らえない。
『わはは、その声はなっちゃんだな!久しぶり!』
「!っあ、侑磨くんだ!」
その電話の主は、意外なことに、前にハルくんに連れられて会ったことのある鳴海侑磨(なるみゆうま)くんだった。
もう何ヶ月も前に一度会っただけだったから、すごく懐かしい。
『……んで、アレ、なっちゃんが見つけたのか?』
「あ、アレ………?」
『エロ本』
「っぶ!!」
なんの躊躇もなく口から吐き出した侑磨くんに、思い切りむせかえるわたし。
やっぱなっちゃんが、と侑磨くんは人の気も知らないでわたしを笑い飛ばす。
「………やっぱり…ハルくんも、…あんな感じの人の方が…いいのかなあ……」
ポツリと、電話口で呟いた。
やっぱり、ハルくんだって男の子だし、幼児体型なわたしなんかよりも大人っぽい人の方が好きだよね……。
だって、明らかにわたしなんかより、大人っぽい人の方がハルくんにお似合いだし。
もうわたしだめだ…そう言うと、侑磨くんは、
『なんだ、なっちゃんが気にしてるのはそっちか』
そう意外そうに言ってきた。
