お爺さんのお通夜の時に、車を停める場所を聞いたのは、私が真那井午前の生まれ代わりだと気付いたからに違いない。

知恵の頭のなかで、和尚さん=空海様、知恵=真那井午。という、構図が定着してしまってのである。

それでも、お葬式の時はまだだれも知恵の異変に気づくものはいなかった。

これから恐ろしいことに巻き込まれるであろう和尚さんでさえ、分からなかっただろう。

しかし、音を立てず静かに知恵は壊れ始めていた。