「エミ、いっしょに飯行かね?」

ケインの仕事場を後にして岳斗君が帰り際に誘ってくれた。

「うん、いいよ。

それより新しい部屋どうなった?

まだ片付いてないとか?


史君いつも汚くしててお母さんに怒られてたっけ?」

「俺の部屋、史也さんの所みたいに散らかってないし。


こう見えても結構マメなんだけど?」

「嘘っ、ごめん。

なんか、史君と岳斗君を重ねちゃうんだよね。」


「何だそれ?

俺のこと兄貴って思うわけ?


まあ、俺のほうが大人っぽいっていうのは言えるかな?


それじゃ、エミは妹分だから面倒見てやんねーとな。」


そう言って私の頭に手を当てクシャッと髪の毛をかき回した。


「もっ、もう!

そんな子供みたいなこと、さっき兄貴って言ったの誰だっけ?」


岳斗君はこの頃私のことを心配してかまってくれる。

史君がアメリカに行ってからちょくちょくご飯を食べに行くようになった。

ちゃんと言われた通りに岳斗君の部屋にはまだ光信が忙しくて一度も行ったことがない。


「今日は寒いから鍋がいいかな。

エミは?」


「うん、良いよ。

じゃあ、ってお鍋のお店なんて知らない。


ちょっと待ってね、真由に聞いて見るから。」

真由が家に来たら良いよ、みんなで鍋しようって言ってくれた。

「真由が、鍋なんて外で食べるもんじゃないって、具を買ってうちにおいでって言われたんだけど、いいよね?」


「俺も行っていいの?」

「もちろん、岳斗君のことは話してあるよ。」


「じゃあ、買い物行くか。エミ何入れるのが好きなんだ?

俺は肉だな。

あとは、餅。

これは外せない。」


「え~、お餅入れるの?

それじゃ、最後におうどん入れられないじゃないの?」


結局岳斗君が全部食べるって約束で手に抱えきれないほどの鍋の具材を買った。