「でも…」

僕は心を鬼にした。
僕らは利用し利用される関係。

だから…
この、お金も…

「分かった。貰うよ…」

先生は涙を拭いながら、

「湿っぽくしちゃって、ごめんね。」

そう作り笑いをして言った。

「じゃあ…少ないけど今月のおこずかいネ。」

「…ありがと。」

僕は満面の笑みでユイに感謝の気持ちを伝える。

お互いが利用しているのが分からない様に、欺きあって…


別れ際、僕は右手に1000円札を三枚握り締めていた。

心が、すり減っていくのが痛いほど分かった。


この頃から本当の意味で僕等は崩れ落ちていってしまったんだ。