「始まるね。」

先生がそっと呟く。


僕は、先生がこの時言った言葉に、もっと深い意味があったのかも知れないと思ったのは少し後の事だった。

この時の僕はただ単に、

「そうだね。」

と答えていた。


上映中に何度か前の席の人のケータイの照明に邪魔されたけれど、最大の宿敵ポップコーンの邪魔は入らなかった。

ほらね、誰からしてもポップコーンは不要なアイテムに違いないんだ。


映画が終わりスタッフロールが流れる。


周りには映画館から出て行こうとする人達がいた。


どうでも良い事かも知れないけれど、僕には映画に対するこだわりみたいなものをポップコーン以外にも持っていた。

スタッフロールも含めて一つの映画作品だと云うこだわりだ。