「ふーんそうなんだ」



「は?葉月もわかるだろ?」




あいつらは付き合ってたんだ。わからないはずがない。




「しらねーよ」





葉月は意味ありげな笑みを浮かべると、ため息をついた。




「あいつ…。まぁ死人にいっても仕方ないな」





酒の酔いのせいもあり、思考回路が通常よりもうまく働かない。




「お前らなんかあったのか?」



酒のせいだろうか。以前から疑問に思っていたがきけなかった言葉がたった今口から漏れた。






葉月は答えない。




眼鏡の奥の瞳が俺を捕らえる。




同性の俺でさえもドキッとするくらいの眼差し。



「俺は結に裏切られた」




周りの雑音が一気に聞こえなくなった。




裏切り?





「アイツは俺を見ていなかったぜ」




大学生になって葉月の周りの状況がはじめてわかった。



俺らは近かった。






近すぎたはずなのに、何も知らない。





悔しかった。