電話を切った途端に、涙が堰を切ったように溢れかえってきた。

晴久にまた女がいると言う事実が、この状態になっても博愛の胸を締め付ける。

慣れているのに…


晴久から何度も電話がかかってきていたが、全て無視した。

出たとしても同じ会話の繰り返し。

もう何も話す事はない。

話した所で、また自分が辛くなるだけだ。

部屋のドアを開けて、千夏歩が覗きこんで何かを言ったが、千夏歩の持論だろう。

千夏歩は変わり者だ。

この状態に於いてもまだ自分の考えだけを話している。

無性に腹が立ってドアを閉めた。

一人にしてほしいと思った。