離婚が悲しい…確かにそれもある。

だがそれ以上に、自分の夫の馬鹿さに呆れてきた。


【ぅちが呆れて泣くって、よっぽどやねんけど…】


部屋にある全身鏡に映る自分を見ながら、そんな事を思っていた。


「帰らへんでな。ぅちはもう嫌やねん。美嘉には月に一回でも二回でも会ってもろたらええと思う」

美嘉に会わせるという自分の決断にもかなり勇気がいるのに。


「会わへんぞ。別れるんやったら、俺は美嘉にも会わへんからな!!!」


予想外だった。

いや、ある意味では予想できた展開かも知れない。


「会わへんの??あんたの顔も知らんまま美嘉、成長してくで」


前髪を手櫛でときながら、半ばやる気なく博愛は言った。

もう正直、どうでもいい。

阿呆らしくなってきた。

本気で別れたくないと思っているなら、晴久は今すぐにでも博愛を連れ戻しにここまで来るはずだ。

それをしようともしない。

後ろから聞こえてくる話し声を、博愛は聞き逃していなかった。

女の声が聞こえていた。


「離婚届はまた送るわ。じゃあね。」


一方的に電話を切った。