晴久からは、その内電話はかかってこなくなった。

代わりに香奈からの電話とメールが代わる代わるあった。

一番話したくない相手…

この女さえ居なければ、晴久と自分はうまく行っていたはずだ。

自分の気分で動き、晴久をいつまでも溺愛して甘やかす。

義姉にあたる春名(はるな)の子供と、美嘉を差別するような態度を取っては博愛を傷付けてきた人物…

離婚の原因になった人間。

今更話したくも無かった。

煙草をふかしながら、ただ携帯の画面に表示される香奈の名前を無表情に見つめていた。

膝の上で美嘉が笑う。

これから先、どうやって美嘉と二人で生きていくのか…それを考える事が先だった。

香奈と話をした所で、我慢しろだの、打たれ弱いだのと自分が原因になっている事を全く分かっていない無責任な発言を連発されるだけ。

香奈と話すくらいなら、晴久と話す方がまだましだった。