ほんのりと良い香りのするハーブティーを口に含み、目線を窓の外へと向ける。


ここは、自身の住まう家。

その二階の一番端の部屋が、僕のプライベートルーム__まぁ、単に自室と言えばいいだけだが__だ。


窓から見える景色は、澄み渡った青い空と、顔を覗かせる様な樹木の枝先。

何と言う名の樹木だったかは忘れてしまったが、祖父の代からあるそうだから、樹齢はそこそこだろう。



知人はこの家を、まるで城の様だと言い表すが、幼少の頃から住んでいるため、あまり特別に感じた事はない。



まぁ、そんな事は、今はどうだっていいのだ。


今さらながら、少し自己紹介でもしようか。


僕の名前は黒羽流(くろばねりゅう)。

__自分で言うのも何だが__名門大学に現役で通う、大学三年生。

割と成績も良好で、対人関係も悪くはないと自負している。

家柄だって良く、不自由などない生活を送っている。


…いや、違うな。

不自由は、ある。


それこそが、今、僕自身の最大の悩みなのだ。


その悩みというのが…