始まりの春、終わりの冬



『えっ?今、何が起きて…里留くんがこんなに近くにいる…』


『私、抱きしめられてる…の?』



「えっと…だめだよ、だれかに見られたら勘違いされちゃうよ?」



「今は、そんなことより大事なことがあるだろ!もう大丈夫だから、安心しろ。」


里留くんは、私の耳元でそうささやいた。

すごく優しい声。安心する


「…うん。」





『ありがとう…。』
心の中でなんどそう言っただろう?

その言葉しか出てこない…。





優しい里留くん。







その里留くんの胸の中に私がいる。


里留くんの心臓の音。力強く抱きしめてくれている腕。
厚い胸板。里留くんの香り…。




全部がわかる。





「うっ…ひっ…うっあ~ん…」



安心したせいか、涙がとまらなぃ…



そんな実夢をだまって里留くんは、抱きしめてくれていた。








…どのくらいの時間がたったんだろう、


もう震えていない。


「…あり…ひっぐ…がと…ひっ…」



「おぅ」



里留くんは私が落ち着くまでずっとそばにいてくれた。