――俺の彼女は面白い。



教室内。
俺が仲のいい男子、野々宮と話していると、彼女はジッと視線を送ってくる。
なんだと横目で見遣れば、バッとノートで顔を隠してしまう。
反応がいい。
打てば響くような予感がして俺は野々宮のネクタイを引っ張った。
「うわっ!いきなり何すんだよ月島!」
「うるさい野々宮。黙って付き合え」
ネクタイを引っ張ったおかげで俺と野々宮の距離が近くなる。
マジで近い。顔近い。
と思いながら、また横目でチラリと確認。
あ、驚いた顔でこっちガン見してる。
手に握ってるノートで顔隠すのも忘れてさ。ホント面白い。カラカイがいのある子。
可愛い彼女にもっとサービス。
俺は野々宮の耳元に唇を寄せた。
「ぎゃあああ!!何すんだぁ!!そういう趣味はねぇ!!マジやめろぉ!!月島ぁああ!!!!」
「うるさい野々宮。黙って付き合え。今度数学のノート見せてやる」
エサを与えたら野々宮は素直に口を結んだ。よし。
そのまま野々宮の肩に抱き着き、耳を噛む。ヒッと野々宮から悲鳴が漏れたが気にしない。
また、チラリ。
彼女の顔は真っ赤だった。ノートは机に放置状態。とうとう手からも離れたか。
まあ、そんなことはどうでもいい。恥じらうように頬を染めるあの表情が見たかったんだ。うん。やっぱ最高。俺の彼女マジ可愛い…。
「つ、月島…!もう俺限界!!」
ああ、野々宮の思考がショートしそうだ。離してやるか。俺も満足したし。
「ご協力どうも」
「ああ~マジでヤバかった…。数学のノート、約束だからな?」
「はいはい」
テキトーに返事をして席を立つ。彼女に近づく。コツコツと、徐々に迫れば思い出したのか、またノートを手に取った。けど顔を隠す前に俺がノートを奪う。そして意地悪な質問を一つ。
「何してるの?」
笑顔で問えば彼女は顔を赤くしたままハニカむ。
「も、妄想……」
「そう。今日はどんな?」
「月島くんが野々宮くんを誘ってるの。それで逆に月島くんが食べられちゃうの」
「なにそれ。俺が受け?」
俺はどう考えたって攻めだろ。食われるより食いたい。もちろん彼女のことも。
「私の中では、月島くんは常に受け側なの」
「は?マジか」
なんか納得いかない。けど…ま、いっか。どうせ妄想内でのことだし。現実はそうじゃないんだって教えてあげなきゃね。
「ねえ」
俺は眼鏡を外して彼女に呼びかけた。それから、クラスの奴らがいる中で噛み付くようなキス。