【玲央 side】



―あのあと。




「ぁ…ここ座って…?」



「うん」


未亜ちゃんの部屋にお邪魔して…未亜ちゃんはソファに手を差し出す。
それを見た俺は、その通りソファに腰掛けた。



すると―、




「…っ」


未亜ちゃんが、ちょこんと可愛らしく俺の隣りに座った。



「……ふっ」




なに?今の…。超ー可愛いんだけど。




そんな彼女の行動に思わず笑みが零れた。



「へっ…?玲央くん…?」


突然笑った俺を見た未亜ちゃんは不思議そうな顔で俺を見つめる。



「ううん、何でもない。てかそれより…未亜ちゃんの部屋って、すっごい片付いてるよね。もしかしてキレイ好き?」


俺は話題を逸らすように部屋を見渡す。



「う~ん……どうなんだろ…?分かんない、けど…普通じゃない…?」



「ふーん、普通ねー………あ。」


そう言いながらテーブルに目をやると…高さ15センチぐらいはありそうな“あるもの”を見つけて手に取った。



その“あるもの”とは…―、




「この子だ?……噂の“うさちゃん”」


未亜ちゃんが好きだと言っていた、 うさぎキャラクターのぬいぐるみ。



「うん!そうだよ!可愛いでしょ?」




…っ。




「…ねぇ、未亜ちゃん」


未亜ちゃんの顔は絵に描いたような満面の笑みで…
それを見た俺は自分の中で何かが動き出す気がした。



「ん…?なぁに?」



それは…―、




「……俺とこの子…どっちの方が好き?」



意地悪発生装置。そのスイッチを彼女が見事に押したのだ。



「えぇ…っ!?どっちって…どっちも…っ」



「どっちもはダーメ!どっちか選んで?」


少し困った顔でそう言う未亜ちゃんの声を遮って再び作動する意地悪装置。