【未亜 side】



―放課後。


学校から帰ってきて部屋に戻ると…
もうすでに玲央くんが帰っていた。




「…ただいま」



「ぁ…おかえり」


リビングのソファに座っていた玲央くんに話しかける。



「……?」




だけど…いつもと違う感じがする…。どうしたんだろう…?




「未亜ちゃん…ここ座って?」



「あ、うん…」


玲央くんはそう言ってソファを軽く叩き私は言われた通り隣に座った。



「未亜ちゃんはさ…もう進学する大学、決まったよね?」



「うん…決まったよ?」




この間その報告だってしたのに…。急にどうして、また聞くの…?




「だよね…。じゃあ俺のことも言うね…?俺…―」



「ちょっと待って…っっ!!」


私の返事を聞いた彼の顔は真剣さが増していき…
そんな彼を見て何かを察した私は彼の話を止めた。




何か嫌な予感がする…聞きたくない…っ!!!




そして…両手で耳を塞ぐ。




「未亜ちゃん!ちゃんと聞いて…!?すごく…大事なことだから…」


焦ったような彼は…私の手を掴んで耳を開放する。



「でも…っ!!」



「未亜ちゃん…っ!!お願いだから…」



「っ…」


今まで見たことがない懇願するような言葉に私は黙って小さく頷いた。




でも…心の中は“嫌だ”って言ってる。
“絶対よくない話だよ!”って…。


だけど私には…聞かなきゃいけない義務がある…。


私が彼を大切だと思っているように…彼だって…
私のことを大切だって思ってくれているはずだもん…。



だから私は…“逃げちゃダメ”なの…―。





「ありがとう…。俺……留学する…アメリカに」