【玲央 side】




「はぁ…」




もう未亜ちゃんの進路も決まったわけだし…
そろそろ言わないといけないよな…?あのこと。




「なぁ玲央~…未亜ちゃんに言ったの?あのこと…」


一緒にいた亮が心配そうな顔で聞いてきた。



「いや…まだ言ってない…」




亮が何を言いたいかなんて分かっている。
俺の家の事情を知ってるのは亮だけだから。




「まだかー…。でもさ…そろそろ言った方がいいんじゃない?」



「そんなの分かってるよ…!ずっと前から分かってる…!!だけど…言うのが怖いんだよ…」


最後、苦しく呟くように座っている目の前のテーブルに突っ伏した。




“玲央くん!見て!合格したよっ!!”



そう満面の笑みで言われた日から…いつ言おうか散々考えてきた。
だけど未亜ちゃんのことを思うと…言えなくなってしまうんだ…。




「そうかもしんないけどさ…絶対言わなきゃいけないことなんだから…先延ばしにすんのは…未亜ちゃんのためにも、よくないと思う。」



「……」




亮の言ってることだって重々分かってる…。


“旅立つ”寸前に言ってしまったら…それこそ大泣きされるだろう。
そんな未亜ちゃんに…涙も拭いてやれず立ち去る羽目になる…。




「っ…だよな……じゃあ…今日言うよ…」


苦し紛れに言ったその言葉。




だけど本当は…言いたくなんてない…。


そんなことを言ったら彼女がどうなるかなんて…想像がつく…。
俺…未亜ちゃんのそんな顔なんて…絶対に見たくないんだよ…。



それでも…絶対に言わなきゃいけないんだ…“このこと”は…―。