―そのあと。


近くの空き教室へと入った。




「…ここなら大丈夫かな。っていうか…俺が聞いちゃってもほんとにいいの?」



「うん……大丈夫っ。だから聞いてほしい…」


少し不安げな表情を浮かべる三波くん。
それを打ち消すように明るく言った。



「うん…分かった。」



「じゃあ話すね…?


 私ね…?玲央……里原 玲央と幼なじみなの…。それで…玲央のことが好きだった…ずっとずっと…。

 でも私…1年間留学してて…ついこの間その留学から帰ってきた所だったんだ…。そしたら…玲央には彼女が出来てて…鈴村 未亜ちゃんっていう…」



「あぁ~……みぃね。俺もビックリだったよ」


私がそこまで言った所で三波くんは納得したようにそう言う。



「え…?みぃ…?」



「みぃ…鈴村 未亜。俺さ…小・中学校が同じだったんだ」


三波くんの言葉の意味が分からず首を傾げると彼はそう説明してくれた。



「あっ…そうだったんだ…」



「うん。で…続きは?」



「ぁ…それでね…?

 玲央には今までにも…彼女がいたことがあるんだけど…今の未亜ちゃんだけは今までの子たちと違くて…“私はもう玲央の隣りにいるチャンス掴めないんだ”ってほんとに思ったんだ…。

 今までそんなこと、思ったことなんてないのに…」



「そうなんだ…」



「うん。だけどね…?

 私、2人とも好きだから…邪魔するつもりなんて全然ないの…。
 でも…でもね…?グスッ…まだちょっと…泣きそうになったり…」




ぎゅ…っ




「っ…!」



「分かる…分かるよ、その気持ち…」


私はいつの間にか涙声になっていて…悲しげな声を出す三波くんに抱き締められた。