「でもね…?

 あの男の子が…“玲央くんには彼女がいる”って言った時…“今はそんなの関係ない”って言った…玲央くんの言葉の方がっ…もっともっとショックだったの…っ」


そう言い終えた瞬間、完全に引いたはずの涙が再び頬を伝って零れ落ちた。




まさか玲央くんが…あんなこと言うなんて思わなかった…。
例えそれが…“大切な人”を助けるための策だとしても…。




「未亜ちゃん…」



「グスッ…だけどね…?何で玲央くんが…あんなこと言ったのか…私、ちゃんと分かっ…」


玲央くんに自分の気持ちを伝えるのに必死で気づかなかった。
最後まで言い終わる前に…玲央くんの腕の中に収まっていた―。




「ごめん…ごめんね?未亜ちゃん…。

 あの時あんな言葉しか出て来なかったんだ…。それと…いきなり怒ってごめん…。未亜ちゃんは何も悪くないのに…俺、あいつに嫉妬してたのかも…」


いつもの優しい玲央くんの声が耳のすぐ傍で聞こえてくる。



「ううん…私こそごめんね…?」



「…何で未亜ちゃんが謝るの?」



「えっ、と…何となく…言っときたくて…」



「…変なの。」



「そ、そんなこと……んっ」


私の身体を離した玲央くんと目を合う。
だけど私の言葉は…彼によって遮られた。



突然すぎる…不意打ちのキス―。




「//…い…いきなりはビックリする…っ」



「でも好きでしょ?」




ドキン…ッ




反論すると、すぐにそう返す玲央くん。
その言葉に私の心臓は思わず反応する。



「ほらやっぱり。」



「もう…っ!!//」


私の反応を楽しむように彼はニヤリと笑った。